ちょい用語 RFLPs restriction fragment length polymorphism
制限酵素断片長多型
まずは、新規に調査した日本人のmtDNA全配列のハプログループ分類を実施した。
系統樹が掲載されている。
系統樹のおおざっぱな見方。時間がたつと変異が蓄積される。つまり、縦軸は時間の流れ。ハプログループが増えると横に広がる。つまり、横への広がりはハプログループの拡大。ハプログループの拡大は、人口の拡大・生息域の拡大を意味するが、環境の増悪でボトルネックが出現しやすい状況があった可能性も出てくる。ここにも、多様性の成熟→環境悪化による淘汰→環境改善時における競争、という理屈が成り立つ。
(ハプログループはどのように成立するか、いちどまとめる必要がありそう)
マクロハプログループM系
ハプログループD
Dは制限酵素AluIによって5176地点が切断されることで認識される。HVI領域の変異によってD1 D2が認識される。また3010 8414 14668の変異によってD4が認識され、D4 D5はアジアに分布する。
、、、、、のような感じで、系統樹についての説明が書いてあり、そのあとに地理的分布について書いてある。
Dは中央アジア、東アジアにおいてもっとも多いハプログループであり、本土日本でもいちばん多い、しかしアイヌと琉球ではそうではない。しかしサブハプログループの地理的分布は特徴的であり、D5は南方で優勢であり、D4aは北東シベリアのチュクチで多い。しかしD4a1は琉球でもっとも多くD4nはアイヌでもっとも多い。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch2 |
TWA |
CHU |
KOR |
TIB |
D4 |
18.9 |
2 |
7.84 |
20.9 |
13.5 |
1.67 |
18.4 |
12.3 |
D4a |
7.39 |
- |
1.96 |
- |
0.48 |
11.7 |
5.77 |
- |
D4a1 |
0.53 |
4 |
- |
1.38 |
- |
- |
2.42 |
1.54 |
D4n |
0.61 |
- |
3.92 |
0.23 |
- |
- |
0.19 |
- |
D5 |
3.73 |
- |
- |
3.22 |
6.25 |
- |
2.98 |
1.54 |
D5a |
1.07 |
- |
3.92 |
3.91 |
- |
- |
0.56 |
1.54 |
推定分岐年代
D 35000+-10000
D4 22000+-9000
D5 35000+-12000
ハプログループM9
M9は中央および東アジアに分布し、チベットにおいて頻度、多様性ともに最高である。日本では本土だけでなく琉球、アイヌにも存在する。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch5 |
TWA |
BUR |
KOR |
TIB |
M9 |
- |
- |
- |
1.59 |
- |
- |
- |
- |
M9a |
2.44 |
4 |
1.96 |
1.98 |
- |
5 |
3.17 |
10.8 |
推定分岐年代
M9 28000+-11000
ハプログループG
G1a1は日本本土、アイヌ、琉球、韓国グループでもっとも多い。一方G2は北部中国、中央アジアに比較的多く、とりわけMansi Tuviniansにおいて多く、南部シベリアの東西両端で多いと思われる。(バイカル湖のさらに西方)。また日本で新規にG3 G4が発見された。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch5 |
MAN |
TUV |
KOR |
TIB |
G |
0.53 |
- |
- |
- |
- |
- |
0.37 |
- |
G1a1/D |
2.13 |
- |
5.88 |
0.4 |
- |
- |
2.05 |
- |
G2a |
1.68 |
4 |
- |
0.26 |
- |
2.78 |
1.86 |
- |
G2a1 |
2.52 |
- |
3.92 |
0.66 |
6.12 |
5.56 |
1.49 |
- |
推定分岐年代
G 26000+-14000
G1a 16000+-6000
G2a 12000+-10000
ハプログループE
Eは南アジア由来と考えられ、現在はマレー半島、ボルネオ、ニューギニア海岸、グアム、フィリピンなどに分布する。しかしながら北方の大陸には分布せず、日本でも観察されない。
ハプログループM8 C Z
M8a C Zは同一の枝に属している。これらの起源は東南中国と考えられるが、Cは韓国でいちばん多様性が高い。
これらのグループはすべて本土日本で認められるが、琉球およびアイヌではすべて観察されない。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch5 |
CA2 |
KAM |
KOR |
TIB |
M8 |
0.15 |
- |
- |
0.13 |
- |
- |
0.37 |
- |
M8a |
1.22 |
- |
- |
1.59 |
- |
- |
1.68 |
- |
M8a2 |
- |
- |
- |
- |
1.08 |
20.9 |
0.37 |
- |
C |
- |
- |
- |
4.1 |
9.68 |
26.4 |
0.37 |
1.54 |
C1 |
0.3 |
- |
- |
- |
1.08 |
- |
- |
- |
C4a |
0.08 |
- |
- |
- |
1.08 |
- |
0.37 |
- |
C5 |
0.08 |
- |
- |
- |
2.15 |
- |
0.74 |
- |
Z |
1.3 |
- |
- |
0.53 |
9.68 |
8.79 |
1.49 |
9.23 |
推定分岐時期
M8 34000+-10000
C M8a Z 20000+-2000
ハプログループM7
M7a1は琉球で最も高い頻度と多様性を認め、中国全域で多く認められる。しかし興味深いことに韓国とアイヌでは認められず、日本本土でもまれにしか存在しない。M7aも同様に琉球で多く、フィリピンでも認められる。
M7bは北中国で多様性に富むが、そこから派生したM7b2は琉球で多様性に富み、韓国、日本本土がそれに次ぐ。
M7cはアイヌにはなく、日本本土ではまれである。しかしサバ(マレーシア)とフィリピンで非常に多く、中国全域で多様性に比較的富む。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch5 |
CA1 |
KOR |
TIB |
FIL |
M7a |
7.39 |
12 |
15.7 |
0.53 |
- |
3.35 |
- |
6.25 |
M7a1 |
0.08 |
14 |
- |
2.25 |
0.98 |
- |
- |
3.13 |
M7b |
- |
- |
- |
2.11 |
- |
- |
- |
- |
M7b1 |
0.08 |
- |
- |
5.02 |
0.49 |
0.56 |
- |
- |
M7b2 |
4.73 |
8 |
3.92 |
0.13 |
- |
2.79 |
- |
- |
M7c |
0.76 |
2 |
- |
2.51 |
1.96 |
3.72 |
3.08 |
18.8 |
推定分岐時期
M7 48000+-37000
M7a 23000+-8000
M7c 24000+-10000
M7a1 18000+-7000
M7a1a 11000+-6000
M7b2 5000+-4000
ハプログループM10
M10はチベットで最も頻度が高いが、多様性は中国で最も高い。韓国と本土日本には存在するがアイヌと琉球では見つからなかった。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch5 |
CA1 |
BUR |
KOR |
TIB |
M10 |
1.3 |
- |
- |
1.72 |
0.49 |
2.5 |
4.66 |
7.69 |
ハプログループM11
M11は7つのcoding regionの変異と4つのHVS-II領域の変異で検出される。日本でもこの変異は確認できるが、中国では分枝として14340変異があり、日本ではそれがないかわりに14790変異を認めた。
15924変異はM11と今回新規に報告するM12の共通根になることがわかった。
ハプログループM12
M12は今回発見された。これはまれなハプログループで、本土日本、韓国、チベットだけで認められた。チベットが最も高い頻度と多様性を持つ。
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JPN |
RYU |
AIN |
Ch5 |
CA1 |
BUR |
KOR |
TIB |
M12 |
0.08 |
- |
- |
- |
- |
- |
0.19 |
6.15 |
ハプログループM1
M1は東アジアでは認めず、エチオピアからまず報告されヨルダンなどで見つかっている。今回の報告でハプログループMの、他の枝と同様の位置にあることが確認された。