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fairyism備忘録

現状のところ、人類史および日本への拡散について管理者が学習してゆくブログです。

The Human Genetic History of South Asiaについて

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The Human Genetic History of South Asiaについて

The Human Genetic History of South Asia
Curr Biol 20:R184(2010)

 2010年にCurrent Biologyでreviewの特集が組まれていたようで、その南アジアに関する部分です。
 南アジアはアフリカを出た現世人類が最初に到達した場所で、ここから各地に人々が広がっていったとしています。人類の拡散は、人口増加による拡大、および環境変化による移動であり、移動によりグループが分かれていった、と書かれています。(当然のことながら、移住の先頭に立っていたのは新天地を目指す冒険家ではなく、生活域をひろげてゆく移住の辺縁であったわけです)。
 出アフリカは最新の報告では紅海の南端を通る南ルート一回だけと考えられる、としています。従来南アジア(インド)への移住年代は45000-60000年前と推測されていましたが、近年の遺伝子学的研究では、年代がさらに10000年ほどさかのぼると推測されています。ただ、遺伝子学的研究にも限界があることが明記されています。疑いない証拠によれば、50000年前にはすでに南アジアに現世人類が来ていたことがわかっています。
 現在のインドには、族内婚をする多数の伝統民族がいて、またカースト制度がありカースト間の遺伝子交流は極めて限られています。このような社会的影響がインドの遺伝子的多様性を非常に大きなものにしています。中央および東インドには多数のオーストロアジア語族の少数民族があり、伝統的には狩猟採集・焼畑・遊牧を行い、多様な言語を持っています。彼らが最初に南アジアへ到達した者の末裔と考えられています。彼らはmtDNAの古い枝であるM*およびM2が多く、YchrではO-M95が多くその年代は65000年前と推測されています。後代に中央アジアから現在のアフガニスタン・パキスタンを通るルートで、農業・陶器・金属器を持つ人々が北インドへ進入しましたが、南インドはその影響を受けていません。この移住は男性優位のものと推測され、そのためYchrがmtDNAより多くの多様性を持つようになっています。この移住者たちの遺伝子的な痕跡は、カーストの上位により多く残されています。
 インドはその居住の古さ、および社会的影響による創始者効果の強さにより、大きな遺伝子多様性を持っています。
 また近年のautosomal chromosomeの研究によれば、南アジアは東南アジアへの遺伝子の源泉と考えられます。
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