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fairyism備忘録

現状のところ、人類史および日本への拡散について管理者が学習してゆくブログです。

Y染色体による東アジア植民の推定 2

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Y染色体による東アジア植民の推定 2

・突出した人々によるYchr
 たとえば、チンギス・ハン(1162-1227)のYchrであるC3*xC3c, star-clusterは、太平洋岸からカスピ海まで広がり、現在の地球上男性の0.5%を占めます。また、清朝の満州族貴族に由来するC3c-M48は現在東アジアの3.3%を占めます。
 また同じ姓を持つ者は、男系でつながっておりYchrが同一であると考えられます。曹操の子孫を称する人々はO2-M268を持っていますが、漢の相国であった曹参の子孫はO3-002611でした。曹操は曹参の子孫を名乗っていましたが、実際は祖父の曹騰が曹参の同僚である夏侯嬰の子孫から養子をとって家をつがせたものであり、血のつながりはありません。Ychrの結果はこのような史実を反映していました。
 このように、Ychrと姓の関連を調べることで、史料から欠落した系図のつながりを復元する試みもなされています。

・まとめ
 ハプログループC D O Nは東アジアの90%以上を占め、いずれも南方由来であり3回の独立した移住でもたらされたものです。北西中国に見られるハプログループE G H I J L Q R Tについては、西ユーラシアに見られるもので、近年、北ルートから来たものです。
 東アジアにおけるYchr研究には現在二つの壁があります。一つは特に最大のハプログループであるOについて、サブグループのマーカーが少ないことです。もう一つは系統や分岐時期が特に初期において不明瞭であることです。
 現在の次世代シーケンサーでは、多数の人々のYchr全体を解読することが可能です。これにより正確な系統や分岐時期が見いだされることが期待されています。

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 このレビューにはそれぞれのYchr移動ルートを推測した地図が掲載されていました。


 気になるのはハプログループCとDです。両方とも初期の海岸採集民と関連づけられますが、東アジアでの足跡は少し異なるようです。CとDはどちらも日本に最初に到達した現生人類の候補です。どちらが早いか、あるいは同時か、どのようなルートか、検証が必要です。
 東アジアのYchrについてはBing Suらが研究しており、ハプログループO D C Nそれぞれについて論文を発表しています。このレビューでは、Ychrの年代を参考程度、としていましたが、Bing Suの研究によれば、D2の分岐時期は37,678±2,216年で、C1の分岐時期は41,900±16,600年であり,考古学的に日本に現生人類が到達したと考えられる40000年前と非常に近い値になっており、非常に興味深いところです。
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