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fairyism備忘録

現状のところ、人類史および日本への拡散について管理者が学習してゆくブログです。

40000年前くらいの海岸線を復元してみる

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40000年前くらいの海岸線を復元してみる

 現生人類の出アフリカは6~7万年前くらいと考えられているようですが、そこからの地球的な気候はどうだったのでしょう。
 13~7万年前くらいがエーミアン間氷期であり、7万年前から15000年前くらいまでヴュルム氷期が続き、以後は間氷期にあたります。つまり出アフリカ後の人類は、ほとんどの時期を現在より寒い環境で暮らしていたわけです。
 寒いと、海の水は収縮し、また南極などで氷床となって蓄積される水の量も増えるため、海水面は低下します。およそ21000年前、最終氷期最終期(Last Glacial Maximum :LGM)には海水面は120mも低下し、東シナ海などに広大な平地が出現したと考えられます。
 このLGMの海岸線を描いた地図はネットなどでもよく見かけるのですが、LGM以前、ちょうど東アジアに現生人類が到達した時期の海岸線地図は見られません。
 Wikipediaの海水準変動の項目を見ると、この時期の海水面の動きがわかります。
 LGM、MIS(海洋酸素同位体ステージ)で言えばMIS2にあたるところでは、海水面は確かに120mまで下がっています。そして、7万~3万年前、MIS3とMIS4においては、海水面は約80m程度下がっていたと考えられます。
 ということは、海水面を80m下げた地図を作れば、この時期の海岸線にかなり近いものができるはずです。
 これにはGMT(Generic Mapping Tools)を使ってみました。これは地図画像を作成するための無料のソフトで、もともとはUNIXベースで研究者向けに開発されたもののようです。提供元のハワイ大学のページは、http://gmt.soest.hawaii.edu/ にあります。
 ネットで検索すると、UNIXベースでインストールするための複雑な手順が多数検索されますが、現在windows向けに提供されているものはインストーラーになっており、普通のソフトをインストールするのと大差ない手軽さで導入できるようです。
 導入手順は、http://ameblo.jp/72502100rdt/theme-10059959621.html を参考にしました。このサイトでは、GMT本体とnetCDF(この2つがGMTを動かすのに必要)およびGhostscriptとGSview(この2つはGMTで作成されるEPS,PS画像を表示させるのに必要)、の4つのソフトをインストールする方法が紹介されています。これに加え、自分の環境ではvisualCのランタイムをインストールする必要がありました。このサイトには、etopo1(地球規模で提供されている、1分グリットごとの標高・水深データ)を利用してGMTで描画する手順も紹介されています。
 GMTのコマンドは、http://www5.plala.or.jp/kashima/gmt/gmt_usage.html を参考としました。
 実際例としては、http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/~okino/gmtscripts/ を参考としました。

 これで描いてみた、水深が80m下がった東アジアは、こんな感じです。

 MIS3~4の時期にもユーラシアとボルネオ、スマトラは一体となって、スンダランドを形成していたことがわかります。フィリピンともほとんど一続きで、ここまではほとんど障害なく植民されていったことが推測できます。また、サハリンを通してユーラシアと北海道はつながっています。
 東シナ海付近を詳細に見てみます。
対馬海峡はまだそれなりに距離があります。東シナ海に広大な平地が出現し、台湾とは接続しています。一方南西諸島・先島諸島はそれぞれ島の大きさは広くなっていますが、諸島であって陸塊とはなっていません。フィリピンと台湾の間も同様です。ただ、この時期の人類がすでにオーストラリアに渡っていることを考えると、この地図の範囲にある島々はほとんどが往来可能であったと思われます。

現在の海岸線を消した図も製作してみました。また印象が少し変わるかと思います。

これが、LGMになると、

 ここまでユーラシアが日本に近付きます。
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