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fairyism備忘録

現状のところ、人類史および日本への拡散について管理者が学習してゆくブログです。

Mitchondrial Genome Variation in Eastern Asia and Peopling of Japan 2004 を読んでみる(3)

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Mitchondrial Genome Variation in Eastern Asia and Peopling of Japan 2004 を読んでみる(3)

プチ用語 rCRS : The revised Cambridge Reference Sequence
 mtDNA配列の基準となる配列。1970年代に最初に報告され、以後誤りを訂正し、1999年にrCRSとして発表された。そのrCRSはヨーロッパのハプログループH2a2aに相当する。その後、mtDNAが人類の遺伝子系図に用いられるようになると、新規の報告はrCRSとの差異を報告する形で行われることが多かった。
 その後、alternative Yoruba reference sequenceという、アフリカの一個人の配列が、他のmtDNA配列との差異を計測する基準として使用された。
 2012年にrCRSとYorubaが統合する形でRSRS(Reconstructed Sapiens Reference Sequence)がミトコンドリアイブのmtDNA配列と同等のものとして制定され、ハプログループの比較により有用なものとなっている。


 マクロハプログループN系
 日本ではNから直接分岐するAおよびN9、そしてNの枝であるRから分岐するBとFが見いだせる。日本には見いだせなかったが、rCRS配列とN1bがRとNの枝に属することも確認した。

ハプログループA
 日本ではA1aに加え、今回新たにA1b A1cを認めた。A2はチュクチで認め、日本でも新規に2つの系列を認めた。日本で新たにA3 A4 A5が認められた。
 A1は北および中央アジアに広く分布するがA1aは韓国と日本に認められる。A1は中央アジアで最も多様性が高く、日本では本土およびアイヌ・琉球でともに認められる。
 A2は主としてカムチャッカ半島を含む北東シベリアに分布するが、チベットにも見いだすことができる。頻度および多様性が最も高いのはチュクチである。
JPN RYU AIN Ch5 KAM CHU KOR TIB
A1 - - - - - 1.67 0.19 -
A1a 2.13 - - - - - 3.54 -
A1b 4.57 2 3.92 7.36 3.3 - 2.98 6.15
A1b1 0.15 - - 0.46 - - 0.74 -
A2a - - - - - 10 - -
A2b - - - - 2.2 50 0.37 3.08

推定分岐年代
A 23000+-8000
A1 24000+-7000
A1a 15000+-7000
A1a1 11000+-5000
A1a1a 5000+-5000

ハプログループY N9a N9b
 今回の報告でYから分岐する枝が判明し、N9bとした。
 Yはアイヌで最も頻度が高いが、その系統は1つしかない。多様性が最も高いのは北中国であり、北東シベリアのNivkhsからも非常に高い多様性が報告されている。
 N9aは中国全土と韓国で最も多様性が高く、日本では本土にのみ存在する。N9bはたいへんまれで、南中国と韓国に存在するが、驚くべきことに琉球およびアイヌを含む日本で最も頻度が高い。
JPN RYU AIN Ch5 MAN KAM KOR TIB
N9a 4.57 - - 2.91 - - 3.19 -
N9b 2.13 2 2 0.13 - - 0.19 -
Y 0.38 - 21.6 0.53 - 9.89 2.23 -
HV 0.91 - - 1.85 18.4 1.1 1.12 -

推定分岐年代
N9  29000+-8000
N9a 14000+-5000
N9b 14000+-9000
Y 19000+-8000

ハプログループF
 FはF1bのみが日本でよく見られ、アイヌおよび琉球にも分布している。このハプログループの多様性がもっとも高いのは台湾を含む東中国である。
JPN RYU AIN Ch5 TUV FIL KOR TIB
F 0.23 - - 2.25 - - 0.37 1.54
F1a 0.15 - - 4.62 - - 0.74 -
F1a1 1.52 - - 7.93 - - 1.12 -
F1b 3.13 2 2 1.19 6.12 8.33 2.05 -
F2 - - - 0.4 - - - -
F2a 0.15 - - 0.79 - - 0.19 -
F2a1 0.08 - - 0.66 - - - -
F3 0.08 - - 0.53 - - 0.19 -

推定分岐年代
F 47000+-9000
F1 30000+-8000
F1b 31000+-7000
F4 33000+-8000
F1a 15000+-7000
F2 14000+-16000

ハプログループB
 アジアのBはB4とB5であり、B4a B4b B4cに加え、日本での枝としてB4d B4e B4fがある。またB4a B4b B4cの分枝も日本において認められる。B5はB5a B5bに分かれ、さらにその分枝も認められる。
 Bの祖型はKoryacksなどシベリアを除き、アジア全体に広く分布している。古いサブグループであるB4は中央~東アジアに分布し、中央アジアから日本まで多様性はほぼ100%に及ぶ。B4aも同様の分布であるが、琉球、雲南のラフ族、台湾先住民に新規の分枝を認める。B4cについては、B4c2は南方で多いが、B4c1は主に韓国と日本で認め、その分枝であるB4c1bは台湾に認める。
 B5aは南~東中国および台湾で高い多様性を認めるが、分枝であるB5a1は北中国および本土日本で高い多様性がある。B5bは韓国で最も高い多様性があるが、フィリピンにも到達している。おもしろいことにB5b1は最も高い多様性および頻度を日本本土に認める。
JPN RYU AIN Ch5 TWA FIL KOR TIB
B 1.3 - - 1.19 - 3.13 - -
B4 0.76 2 - 1.98 - - 0.74 1.54
B4a 0.84 - - 4.36 14.9 - 0.56 -
B4a1 0.84 2 - - 0.48 - 0.56 -
B4a2 - - - - - - - -
B4a3 - - - 1.85 - - - -
B4b 0.53 - - 1.72 4.33 - 0.74 -
B4b1 2.13 2 - - - - 0.56 -
B4c1 1.6 - - - - - 0.74 -
B4c1b 0.61 - - 1.05 4.81 - 0.56 -
B4c2 0.08 - - 1.19 - - - -
B4f 0.3 4 2 - - - 0.38 -
B5 - - - 0.13 0.48 - - -
B5a - - - 6.74 6.25 3.13 - -
B5a1 0.61 - - - - - 3.54 -
B5b 0.3 2 - 0.4 - 12.5 0.19 -
B5b1 0.99 - - 0.13 - - - -
B5b2 2.29 - - 0.26 - - 0.93 -
B5b3 0.08 - - 0.13 - - - -

推定分岐時期
B 46000+-15000
B4 38000+-8000
B5 49000+-8000
B4a 25000+-6000
B4b 26000+-5000
B4c 22000+-10000
B4f 18000+-6000
B5a 26000+-6000
B5b 21000+-5000
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